【歴史/歴史小説】真田太平記(一~十二)合本版/池波正太郎 ★★★☆☆ 忍者パートがいらん
天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍によって戦国随一の精強さを誇った武田軍団が滅ぼされ、宿将真田昌幸は上・信二州に孤立、試練の時を迎えたところからこの長い物語は始まる。武勇と知謀に長けた昌幸は、天下の帰趨を探るべく手飼いの真田忍びたちを四方に飛ばせ、新しい時代の主・織田信長にいったんは臣従するのだが、その夏、またも驚天動地の時代が待ちうけていた。
はるか昔、昭和の頃だったか平成になっていたか・・、まだ10代の頃に読みましたが、一回読んだっきりでしたね。その当時どう感じたかも覚えておらず、おそらくは熱狂はしなかったのじゃないかなあ。覚えていないってことはそうなんじゃないかな。
忍者パートいらない
こえれ言ってしまうと「いやいやそうじゃないんだ」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが。
基本的に、昌幸・幸村配下の真田忍者と甲賀忍者の戦いを描く忍者パートと、真田親子を中心として秀吉・家康らが出てくる歴史パートの2つが交互に描かれる感じ。
池波正太郎の書く忍者は一日に何十kmも歩いたり、飛んだり跳ねたり、変装したりはするけれど、かなり現実的なタイプ。山田風太郎ではない。
お江と言う色っぽい女忍び(幸村の童貞を奪ったり父の友人のお父様とやっちゃったり)が出てきたり、そのお江にチンコを切られたのを恨みに追いかける甲賀忍者がいたりと歴史と関係ない戦いが結構あります。
まだ5巻/12巻までしか読んでいないのですが、比率としては6:4で忍者が多いかもしれん。(角兵衛はどっち入れるべきか)
率直に言ってしまうと、現代の流行りではないなと。真田太平記は昭和49年から57年にかけて週刊朝日に連載されていたとのことで、やはり昭和の匂いがする。当時は仮面の忍者 赤影とかが子どもたちに受ける一方、大人はもう少し現実的な忍者を読みたがってた時代だったのかな。だから当時はこれでエンターテイメントとしてよかったんだろうが、現代ではその現実的な忍者も廃れてしまい、一回まわって空想的な忍者だったりいっそ忍者が飽きられていたり。
忍者いないほうがいいなぁ
真田と言えば「真田十勇士」。今時の若い人は知らないかもしれんな。でも猿飛佐助とか三好清海入道くらいは名前知ってるかな。昔から真田と言えば忍者ではあったけども。
歴史パートは、真田丸とは親子関係が大きく違う。それがまた歴史小説の醍醐味ではあるんだけど、んー、幸村(信繁)のキャラがもうひとつかな。ただの性格のいいお坊ちゃんだわ、これ。
昌幸は偏屈なおっさんで子どものえこひいきがすぎるし、信幸はむっつりさん。
キャラクタ的には忍者のお江だったり、オリジナルの樋口角兵衛や、重臣の鈴木右近のほうがまだおもしろい。
歴史的に重要だったり、知名度が高い人物は、一般的なイメージに近い。
まあまだ半分も読み進んでいませんが、真田丸が終わった今だからこそ、再度読んで欲しい
【マンガ】アトム ザ・ビギニング4巻 ★★☆☆☆ アトムが生まれる時代が来るとは思えない
2017年春、NHK総合テレビにてTVアニメ放送決定!
天馬たちの前に突如現れた、巨大軍用ロボット・イワン。襲撃かと身構えるシックスに、イワンの言葉が響く。
「キミト、ハナシヲサセテ。ボク、ヒトリボッチ……」 ──切望していた、意思疎通できるロボットの出現にシックスは……。
“鉄腕アトム"誕生前史、深謀の第4巻!
あら、アニメ化するのか。
すみません、アニメ疎いです。
前回も書いたのですが、やはり、オリジナルのアトムにつながるのか不安な感じ。
今回は前半がイワンとの対決、そして後半はDr.ロロがその件についてウマタロウ/ヒロシに訪ねに来ると言った内容。
今回はA106(シックス)に芽生えた「心」、そしてそれが他のロボットにも感染していくことについての話。
なんですが、やはり後のアトムと微妙なズレがどうしても。
まずはスカンクに使われている軍用ロボットイワンとの対決。月江さんは目と脳の一部がロボット化。
で、どうもシックスから超短距離通信が発せられていて、それが他のロボットに影響を与えているんじゃないかと。
イワンもなんらかしら呟いていて、友だちになれるかもしれないと期待するシックスは攻撃も程々に対話を試みます。
しかし実際には、シックスの超短距離通信をウィルスと仮定したイワンのオーナーにより、記録したその超短距離通信をただ繰り返すだけのロボットでした。
マルスの指摘によりそのことを理解したシックスはブチ切れます。
「よくもボクをだましたな・・・」
ええええええぇぇぇぇぇぇぇ・・・!あんた勝手に勘違いしてただけやん・・・騙してたんちゃうがな・・
イワンを破壊し、スカンクも捉えたシックスでしたが、その最後にはイワンもひょっとしたら心を持ったかもしれないようなコマもありました。
ちなみに私の持っているアトムのイメージは小学生くらいの子どもです。人を信じて、純粋で、傷つきやすくて、でも10万馬力で。少なくても騙されたからと言って乱暴を振るうようなことはない。涙を流しながら一人学校から帰るようなシーンは思い浮かびますけどね。で、帰ってロボットママに泣きついたり、お茶の水博士に諭されたり。
このシックスはそのアトムに比べるともうちょっと大人というか中学生くらいな感じかなあ。勝手に勘違いして、騙されたと言って、相手を破壊する。中学生かなあやっぱり。
アトムとシックスが逆ならわかりやすいんですが
騙されたと気づいた(?)シックスがイワンに対して言った言葉。また出た。
イワンはまだ哲学的ゾンビと呼べるようなレベルじゃないと思いますけどね。シックスが勝手に勘違いしていただけで。
専門家でもないし、そこまで興味があるわけでもないんですが、一般的な「哲学的ゾンビ」とは「見た目・反応など普通の人間と何ら異なることはないが、その意識(クオリア)と呼べるものがない物」を指すと思っています。その場合普通の人間に見分ける手段はないと言ったレベルの。
イワンはオウムレベルだろ?
この後にも、「名前」についてウマタロウが語ったり、ヒロシが補足したりするシーンもありますが、なんか理屈は多いけど滑っている感はすごいする。
このままウマタロウたちがロボットを作り続けても、アトムの時代は来ないような気がする。
【マンガ】テンプリズム 終わってた!★☆☆☆☆ 最終12巻 2017.02.28発売予定
終わってた!
最終話とその前の2話だけ読んだけど、ぜんっぜんわかんねえ!
なんだこれ!
【マンガ】応天の門 1巻 ★★★★☆ 在原業平(大人)と菅原道真(少年)の平安探偵コンビ
時は平安、藤原家が宮廷の権力を掌握せんと目論んでいたその頃、都で突如起きた女官の行方不明事件。「鬼の仕業」と心配する帝から命を受けた・在原業平は、ひとりの青年と出会う。その少年の名は――菅原道真。ひきこもり学生の菅原道真と京で噂の艶男・在原業平――身分も生まれも違う、およそ20歳差のふたりが京で起こる怪奇を解決!? 「回游の森」「SP」の気鋭・灰原薬がおくる、平安クライム・サスペンス!
絵はとても上手なんですが、「あーなんかBLぽい?」と思って手に取る。wikiでみるとやっぱり女性マンガ家さん。女性がダメなわけじゃないんだけど、女性漫画家がかく男性主人公は嘘くさいというか「そんなやつぁいねえよ」みたいなのがあって、割りと抵抗感。
だったんですが、これは在原業平も道真もそんなことはなく、非常におもしろい
在原業平 - Wikipedia 生年825年
菅原道真 - Wikipedia 生年845年
なのでちょうど20歳の年の差。
藤原高子の入内(866年)には至っておらず、また清和天皇の即位(859年)は済んでいますので、860~865年のお話でしょうか。仮に860年とすれば、業平35歳、道真15歳。
頭は良いが人付き合いが嫌いで外国(唐)に憧れる秀才肌の道真と、女好きだが面倒見がよく年下の道真の知識に頼りつつもその性格を心配する大人の業平の組み合わせ。
イイデスネ。
実際の歴史の流れを追いつつ、左近衛権少将である業平が事件を追い、「鬼や魍魎などいない」と科学的な思考で解決を手伝う道真。
「応天の門」のタイトルからはやはり「応天門の変」を思うわけですが、どうなんでしょうね。そこが一つの山場なのかな。それとも道真が怨霊となるまで続くんでしょうか。
現在6巻までですが、なかなか楽しみ