【考察】獣の奏者 6ご都合主義
この4冊だけで上橋菜穂子さんを決めつけるわけではありませんが、正直に言って他の作品を読もうとは思っていません。読書メーターやamazonなどのレビューを見ると賞賛一色なので、私のほうが少数派なのは理解しています。
ただ、私にとってはご都合主義に思えた。
今回は設定のみに絞って矛盾点を上げましたが、ストーリー的にも戦争に使うとわかっているのにエリンが王獣を育てたり、災厄が起きると注意を受けているにもかかわらず自分の気持ちを優先して王獣・闘蛇を飼育したり。どうも納得出来ないところがあった。
ぐぐってみると、意外にも「ご都合主義ではない」との意見が多かったようですが、いや、書き方が上手いだけでご都合主義だと思います。「何でもうまくいく」のがご都合主義ではなくて、あとから思いついた設定を「実は・・・」と言って出してきたり、ほかに方法があるように思われるのに誰もそれを指摘しないまま話が進行するのがご都合主義です。
前回までの王獣・闘蛇についての考察を読んでいただければ私の言いたいことが少しご理解いただけるかと思います。
「エリンが死んだことこそ、ご都合主義ではない証拠。ご都合主義なら生き残らせることもできるはず」というご意見もあるでしょうが、エリンは上橋さんの思うラストシーンに必要なかったからでしょう。
ラストは王獣も闘蛇も飼育されない世界、そのラスト必達のためエリンは死ぬしかなかったのだろうと思います。優先順位の問題というと少しきつい言い方になりますが。
小説の書き方は人によって異なるでしょうが、上橋さんはラストシーンなどの一場面が心に浮かんでそれに向けてお話を書くという話を聞きました。設定からはじめて下から積み上げていくわけではないので、どうしても無理が出るのはしょうがないのでしょう。
その書き方のよしあしではなく、矛盾に対し気になって仕方ない少数派の気持ちと思っていただければと思います。
でも、あれですよ。ちゃんと色々言いながらも全部読んでいるんですよ。刹那は読んでませんけど。