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【書評】ソロモンの偽証 第Ⅰ部事件 上巻 ★★★☆☆ まだ、まだ大丈夫


 

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

 

内容紹介

クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。

 

 

宮部みゆきはもうかなり昔から、 それこそ期待の新人!とか言われてた頃から読んでいますが、最近の宮部みゆきを読むと気持ち悪くる。
 
この「ソロモンの偽証」でも少しそういうものがあった。人間の内面のドス黒い、気持ち悪いものがダイレクトに襲ってくる。誰しもが気付いているけど目を背けているもの、見ないで済むのならそうしておきたいもの。そういうものを書こうとしているし、そういう意味では成功してる。読みたくないと思わせるほどに気持ち悪い。
 
文庫本なので、まだ全体の1/6。
事件が起こり、そして周囲が動き出したところ。まだ「模倣犯」ほどの気持ち悪さは出てきていない。
映画の予告でなんとなくあらすじは知っているがまだそこまでにも至ってないが、このくらいでとどめておいて欲しいと思う。
 
褒め言葉、ではなく「模倣犯」は酷かった。あんな気持ち悪い話は読めなかった。文庫3巻目の途中ですてた。
 
それは宮部みゆきが目指してる事かもしれない。人間のドス黒さを書くこと。
 
内面を書くことを追求するあまり、グロテスクな領域になってしまっていないだろうか。人間を追求するあまり死体解剖となってしまっていないだろうか。
 
エンターテインメント、昔宮部みゆきのことはそう思っていた。
「面白い!」
 
今はなかなかそう思えない。江戸物はまだ面白い。