【書評】世に棲む日日 (2) ★★★☆☆
内容紹介
およそ中ほどまでに松陰死去。高杉晋作はその松陰のために奔走しますが、結果松陰は処刑されます。その後の晋作は結婚したり上海に行ったり、攘夷運動に熱を上げたり。
正直言って、吉田松陰よくわからないままでした。
司馬遼太郎もそんなに好きじゃないんじゃないの?と言うか高杉晋作を書くための前提条件として吉田松陰なんじゃないの?と言う感じです。
司馬遼太郎の小説は随筆風のパートが度々と挿入されますが、このへんが時々鼻につくことがあり、この2巻でも多少気になりました。おそらくは吉田松陰の人間的魅力を伝えることに苦労したのだとは思うのですが・・・。
明治維新で長州がとった行動を説明するためには、吉田松陰は欠かすことの出来ない存在と思われていながら、なぜその小説が少ないのか。
高杉晋作や伊藤博文などその弟子たちに比べると明らかに少なく、またこの「世に棲む日日」でも1.5巻で退場となってしまったのは、吉田松陰はその爆発の原動力だったというより、花火の一発目でしかなかったのかもという思いがします。
長州は吉田松陰が現れなくてもいずれ同じ行動をとったのでは。火をつけたのではなくて、最初に火がついただけではないかと。
ではその原因は何かといえば大元をたどればおそらくは毛利元就から始まり、関ヶ原で防長二州におしこめられた藩そのものの成り立ちではないでしょうか。長州が維新であの行動をとったのは必然だったという気がします。
明治維新で活躍した薩長土肥のうち、肥前だけはちょっと毛色が違うんですが、関ヶ原で西軍だった薩長と、山内氏と旧長宗我部家臣との対立の続いた土佐藩。関ヶ原の恨みが徳川幕府を終わらせたと言えるのかもしれないですね。