【書評】能町みね子 2冊 ★★★★☆
大学卒業後、ネクタイ時代、OL時代を経て、現在は文筆業&イラスト描き。雑誌、Webなどに多数の連載をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
録画しておいたヨルタモリ見てたら、妹が部屋に来て
「あー、能町みね子。むかしこの人のブログ読んでたんだよね-。『オカマだけどOLやってます』っての」
は?キミは何を言ってるの?この人はどう見ても女じゃないですか?
それともこの人にちんこがついているとでも?
あら。ついてた。厳密に言うと、昔ついてたけど、今はなくなった。
ちょっと興味出たので、そのブログを探してみたがもう手術したし戸籍も女になったのでオカマでもないしということで、ブログは閉鎖?(見つからん)されておりました。
「オカマだけどOLやってます。」
能町みね子、2×歳。都内の某会社でOLとして働き始めて3年、実はまだ「チン子」がついています。会社の人は誰もそのことを知りません…。オトコ時代について、恋愛のお話、ドキドキOL生活など、大人気脱力系イラストエッセイ本『オカマだけどOLやってます。』シリーズを再構成し、一冊にまとめた完全版。
悲壮感もなく、ニヤリとはするが、かと言って大笑いするわけでもなく、日々たんたんと手術もしていない状態で女性としてOLやる日常のお話。男と女とオカマの違いなどがつづられております。よくばれなかったもんだ。
この本を読むと、職場のあの人とかお得意先のあの人とか「実は男なんじゃないの?」と疑い出す気持ちがとまりません。ぼくの職場のあの人、男だと思います。あなたの職場のその人もたぶん男です。
「トロピカル性転換ツアー」
人気エッセイスト・能町みね子が『オカマだけどOLやってます。完全版』の後日談をつづった性転換手術日記。旅行気分で気軽にタイで性転換の予定が、思いもかけない展開に!?タイ出発前から帰国後までの日々を、やたらとリアルでときにハード、そしてトロピカル感満載にまとめた脱力系イラストエッセイ。
その続編とでも言いますか、ようやくお金もたまり、タイで念願の手術を受けた時のお話。こちらも知的興味を満たすというか、今まで知らなかった性適合手術の過程など「へー」と思うことたびたび。
どちらにも共通してるのは、やはり能町みね子の「無理してる感のなさ」。どうしても「思春期は悩んだんでしょ?大変だったでしょ?」とか「苦労したわねぇ・・」とかを期待してしまいがちですが、そうではなくて、
「私今こういう状況におりまして、これこれこういった理由でそういう事になったんですが、なってみるとこういったことがあるんですよね」
という感じ。
自分の現状に対して肩肘を張ってない、無理をしていない。見栄や虚勢をはるわけでもなく、そのまま表現している感じでしょうか。
TVでよく見かけるみょうにテンションの高いオネエの人たちと違うのはそんなところのように思います。
今はどの番組でも一人オネエの人がいたりしますが、この人は違うよね。コメンテーター枠、たぶん。
性同一性障害(本人はこの言葉はあまり好きではないとのことですが)に悩む人が読むと、なんというか、勉強になると思います。
面白かった。