【マンガ】キングダム39 ★★★★☆ 【考察】呂不韋の天下とは? 経済的に無理がある?
キングダム 39 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 原泰久
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/10/19
- メディア: Kindle版
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やっとですか。やっとでましたか。
トイウコトデ、とりあえずざっと流し読み。まだ読み込んでナイですが、まずはやはり呂不韋の語る天下が今巻のクライマックスでしょうか。
「天下統一など人間が望むべきものではない。成し遂げるためには今からとんでもない血が流れるだろう。
それよりも、秦は貨幣を握り、物流を握り、経済を中心とした王道楽土を作ろう」(意訳)
深いですねぇ、深いですねぇ、呂不韋。深いけど・・現代日本人にはちょっとわかりにくい気もしますねぇ。
【閑話休題】
経済、という言葉についてはむかしは「経世済民」と言われてました。経済はもうちょっと後の言葉であって、しかも現在の意味で言う経済については幕末に日本で使われ始めそれが中国などにも広がっていった用法です。
なので、ここで「秦なくして経済の回らぬ世にすると・・・」ってのはじつはちょっとおかしかったりする。
きっと「現代」こそが、呂不韋の目指した天下なのでしょう。自由主義経済と貿易によって成り立つ国家群。そこで基軸通貨を持つアメリカのようなポジションを抑えることこそが、呂不韋の目的なのだと思います。
この時代、貨幣はそれぞれの国家が発行しています。始皇帝となったあと度量衡や通貨、車軌の統一が行われました。それまでは各国ごとにバラバラです。
この呂不韋の話については、普段からお金にまつわる仕事をしてるので、ちょっと説明不足のような気もします。貨幣と言うのは「何かと交換できる保証」こそが最も大事なことでありまして、むかしの日本ににおいては米、世界的にははゴールドでした。米本位制、金本位制 と言われますが、この裏付けあっての貨幣なのですよね。例えば街角の人が勝手にお金を刷っても誰も信用しないでしょう。ところがそれがいっぱい米を保有している大名主さんだったら多少なりとも信用しますよね。それの大きいものが各国の中央銀行、日本で言えば日本銀行です。
ではこの戦国時代では?やはり食料でしょうか。貨幣にゴールドを使うことで貨幣そのものに価値を与えるという方法もありますが、とりあえず食料で考えますね。米、麦、肉、とにかくそういったものを保有してこその貨幣です。貨幣だけ増えても、食料が増えなければ意味がないのです。食料の増えないまま貨幣を発行してもそれはインフレを招き、一通貨あたりの価値が下がるだけ。
他国の人間が秦に群がった時に、そのお金と引き換えられるだけの食料を秦は保有し続けないと貨幣の信用がなくなります。他国から買い付ける?信用のない貨幣と食料を交換してくれるでしょうか?
呂不韋の政策ではまず食料の大増産ないしは何らかのベースとなる財産が必要です。それは貨幣そのものではないのです。金本位制の時代に各国の中央銀行がゴールドを大量に保管していたのと同じです。
その辺の説明がなかったのが、物足りない気がします。具体性にかける。
コミックスだけでしか追いかけていないので、40巻で政がなんと答えるかまっっったく知らないのですが、武力の裏付けのない経済国家でやっていけるのかという疑問はありますね。もしアメリカに軍事力がなければその基軸通貨は保証されるのか、ISISのような無法者集団が出た時どうするのか、経済だけではカバーできないことがあるのですよね。経済だけでまとめようとするとき、それは天下統一されてはじめて実現できるとか言うのかなぁと思ってます。
まあまずは感想そんなところ。細かい史記との対比などは後日。