「永遠の0 」 もう一度、落ち着いて。
- 架空の話ではあるが、だからといって悪いわけではない(SFとか名探偵とか大好きである)
- 第2次世界大戦は侵略戦争の一面もあったが、当時の日本人はそれが最善(日本だけでなくアジア諸国にとっても)と信じてやったと思っている。「地獄への道は善意で敷き詰めらている」
- 日本人にとって、外国人であっても「死ねば仏」だし、靖国に祀るのも大いなる善意でやっていることである。まして当時に朝鮮はなく日本人。
- 戦争そのものはともかく、兵器とか軍艦とか大好き。第2次大戦中のものより、最近の自衛隊とか米軍のモノのほうが好きだが。
という、どちらかと言えば右翼傾向の人間ではあるが、それでも言いたい。
こんな本に騙されるな。
とにかく、ストーリー、構成、登場人物すべてにおいてチャチ。伝えたいことがあってこの本を書いたのではなく、ただ、「こういったお涙ちょうだいなら売れるよね」と思って書いただけの本である。
「それでも面白いならいいじゃないか」と思うかもしれない。
でも待って欲しい。
この本、面白く無い。
これが例えば、SF小説で、未来のなんとか銀河で繰り広げられたなんとか宇宙軍のお話だったらどうだろうか。
泣く?
泣かないでしょ?
どういうことか。
読者の心にある第2次大戦に対する感情、それに大きく依存しているのである。この本で泣けるとすれば、その内8割は自分の中にある戦争に対する悲しみが理由であって、この本が理由ではない。
つまり、この本自体に魅力はない。面白い、泣けると思っているのは自分の中にある気持ちが喚起されるだけなのだ。それが上手なことは認める。
例えば、浅田次郎の壬生義士伝と言う小説がある。この永遠の0と同じく手紙形式で語られることもあり、よく比較されるのだが。
この壬生義士伝が全くの嘘でも、この本は面白い。新選組という団体ではなく未来銀河の話に置き換えても、この本で泣ける。
本当に面白い本というのは、その本単独で面白いのだ。各個人によって異なる知識や感情に大きく依存しては普遍的な面白さとはいえない。
「永遠の0」はおそらく、10年20年後の日本人が読んでも泣かないのではないだろうか。今現在であっても、外国の人であれば泣かないのではないだろうか。それはこの本単独では面白く無いからである。
作者に関してはとりあえずノーコメント。作家はその作品によってのみ評価されるべき。金のために本を書いてもいいし、嘘を書いてもいいし、愛人がいてもいいし、犯罪者でもいい。作家はその書いた本が面白か、面白く無いかだけと思っている。
もう一度、言いたい。
この本、ちっとも面白くなかった。
どう、面白くなかったかは、また後日。