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【SF】アイザック・アシモフ  ロボット工学三原則とその世界 ★★★★★ SFとは


 

アイザック・アシモフ - Wikipedia

 

特にロボットシリーズとファウンデーションシリーズ(銀河帝国興亡史)が有名だが、その他様々な短編長編があり、SFだけではなく推理小説だったり科学解説だったり多岐にわたる。

SFとは「世界」があって、その中でしか起き得ない出来事があってこそのSFだと思っている。例えば田中芳樹の銀英伝はとても好きな小説だが、あれは宇宙である必要はなくて古代に話を持ってきてもイケルと思う。主役が「人間」であって、「世界」ではないから

 

 

「世界」とは何かといえば、アシモフの発明したこのロボット工学3原則をあげたい

 

  1. 第一条
    ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
  2. 第二条
    ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
  3. 第三条
    ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版

このロボット3原則は、後の鉄腕アトム(初出の「われはロボット」が1950年、鉄腕アトムは1951年~) のロボット法やスタートレック、実際の家電業界にも影響を与えていたりする。

 

このロボット3原則、それに縛られたロボットと人間が住む世界があり、殺人事件が起こる。犯人は?手段は?

SFとしてだけではなく、ミステリーとしても非常に優秀。

 

鋼鉄都市

鋼鉄都市

 

 警視総監に呼びだされた刑事ベイリが知らされたのは、宇宙人惨殺という前代未聞の事件だった。地球人の子孫でありながら今や支配者となった宇宙人に対する反感、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦まく鋼鉄都市へ、ベイリは乗り出すが……〈ロボット工学の三原則〉の盲点に挑んだSFミステリの金字塔!

 地球に住む地球人と、はるか昔に地球を脱出し外惑星に住む宇宙人(スペーサー)とがいる。スペーサーは50の惑星に住みそれぞれの文明を持っているが人口は少なく、多くの部分をロボットに頼っている。逆に地球は80億の人口を抱え、壁に囲まれた巨大都市で共産主義的共同生活を送っている。ロボットは人間の仕事を奪うものとして毛嫌いされている。

 余談だがこれは、ヨーロッパとアメリカ、そして黒人労働者を模しているんじゃないだろうか

  • 地球人・・ヨーロッパ、特にソ連?イギリス?。共産主義的共同生活。人国過密で古くからの慣習に縛られている。
  • 宇宙人・・アメリカ人。旧世界脱出後にロボットに頼った生活。外惑星が50なのも州の数?個人主義。圧倒的科学力
  • ロボット・・黒人?単純作業は徐々にロボットに取られ、仕事がなくなる人間が描かれているが、時代情勢的に黒人に仕事を奪われる白人の姿?

地球に圧力をかける宇宙人。その居留地で宇宙人が殺され、地球人の刑事と人間と見分けの付かない最新型ロボットがその捜査にあたる。

  • R.ダニール・オリバー ・・・ロボット。頭文字の「R」はロボットを示す。人間と見分けの付かない外観であり、この世界にまだ1体しかいないタイプ。
  • イライジャ・ベイリ ・・・地球人の刑事。妻も子もいる普通の警察官

3原則に縛られた中での犯人探し。ミステリとしてもとても面白い。

 

 

所々に時代を感じるのもまた楽しかったり

  • 「本」がなくなった代わりに、頭にかぶる式のビューワーがあり、それにフィルムを入れて読む?見る?ようになっているのが、時代を感じる。1冊1フィルム。
  • 地球人口は80億人でいっぱいいっぱい
  • 都市中に動く道路が張り巡らされている。速度が違う道があったり
  • 本物の野菜や肉は枯渇し、イースト菌から作った肉や野菜が主食。食堂で配給制
  • タバコやパイプは廃れておらず、階級が上がると割当も増える
  • 階級が上がると部屋に洗面台がついたり、速度の早い道路が使えたりする

ベイリがあちこちにぶち当たりながら最終的に犯人を突き止めるのだが、なかなか意外に人物だと思う。

 

「世界を作り、その世界でしか起き得ない出来事がある」のがSFだと思っているので、ぜひ一度読んでいただきたい