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自分が40代になったことが信じられない40代のために!

【書評】天童荒太 永遠の仔 珍しく読了前のポスト (★未定)ネタバレあり 注意


再会は地獄への扉だった。十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、今鮮やかに蘇る―。山本周五郎賞受賞作から三年余。沈黙を破って放つ最高傑作ミステリー。 
 内容(「MARC」データベースより) 霧の霊峰で一人の少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。その秘密を抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。そして過去を探ろうとする弟の動きと殺人事件の捜査によって優希の平穏な日々は終わりを告げた-。
普段読了してからポストしているのだけど、知人に勧められ読み始めたこの本、なかなかに重い。テーマも雰囲気も重い。少しずつ吐き出しながら読まないと終わった頃には書評とか言えないかもしれん。

現在文庫版の2巻が終わりそうなところ。3人の周辺で殺人事件が起こる。被害者は子供に熱湯をかけ虐待していた母親。読者は母親が虐待していたことを知っているが、登場人物は推測でしかない状況。警察が捜査を始め、優希の弟聡志に事情を聴きに来た。

その中で聡志の独白がなかなかに身につまされる。ここまでに幾度となく出てきたこれは主題だろうか。

「(略)ただ、親も本当はよくわかっていないんだろう。何が最終的に幸せなのか……。誰だって教えられた以外のことはできやしない。幼い頃にあたえられたものや、環境から身につけたものを、どうしたって繰り返すに違いないんだ。親も、子ども時代、ずっと親の言う事することに、我慢して、従って、理不尽な命令にも、いやだと言えずに過ごしてきたんだろう。親のしてくれることが、どれだけ的外れでも、ありがたがらなきゃいけなかったんだろう。でないと愛してもらえなかったからさ……。そうした子どもが、親になった時今度は自分が、子どもに愛を与える力も、奪う力も持っているから、その力を無意識にもてあそび、子どもを支配しようとする。(後略)」
文庫第2巻 p322
本を見ながらiPadで手打ちしているのでめんどくさ( ;´Д`)

私も人の親だし、人の子どもでもあるので考えさせられる……。自分が今子どもに対してやっていることは、自分が子どもの頃に親から学んだものなのだろうか?よかれと思ってやっていることは本当に正しいのか。
子どもに一度も手をあげたことはないが、うちの子は将来子どもに手をあげることはないのだろうか。逆に虐待を受けて育ってしまっ時は連鎖してしまうのだろうか。

正直いってこの時点で聡志がこのセリフを喋るのが意外。一番恵まれて育っているはず、なので。違うのか?